板紙業界では近年、廃水処理費用の高騰などから排水を工程外に出さない、いわゆる白水のクローズド化が進む傾向にあります。クローズド化されることで、白水中にはサイズ剤や歩留剤、粘着物質などの溶存物質が蓄積し、水質の悪化へと向かいます。水質の悪化は設備の汚染を招いたり、あるいは多量の薬剤添加が必要とされ、それが更なる水質の悪化を招くなどの弊害を生じています。
ベントナイトは製紙工程においてピッチコントロール剤や濾水歩留向上剤としての効能を示し、それにより系内のクリーンアップを可能とします。
ベントナイトをパルパーやリファイナーに添加することにより、マシン汚れやパルプ水の泡立ちの原因となる溶存物質(ロジンサイズ剤やでんぷんなど)をベントナイトが吸着します。これによりピッチトラブルの低減が可能となります。また、スクリーン出口でベントナイトとカチオンPAMを併用することで、ベントナイトが凝集剤としての効果を発揮し、濾水歩留の向上に貢献します。
製紙用ベントナイトによるクリーンアップシステム
ベントナイト無添加
ベントナイト0.2%添加
無機材料であるベントナイトがピッチトラブルの原因となる溶存物質を吸着し、さらに濾水歩留向上剤としての役割を担うことで、内添薬品の添加量は低減し、系内のクリーンアップへと繋がります。
製紙用ベントナイトは、粉末および高濃度スラリー状でのご提供が可能です。高濃度スラリーでご使用いただく場合、スラリー供給設備を含めて弊社にて対応いたしますのでお気軽にご相談ください。
パルプ水中のパルプ繊維は負(マイナス)電荷を帯びているため、正(プラス)電荷を帯びたカチオンPAMを加えると寄り集ってフロックを形成します。しかし、機械的せん断が加えられることで、一旦形成したフロックは細分化されてしまいます。ここで負電荷を帯びたベントナイトを加えると、フロック同士を架橋して再凝集が生じ、濾水歩留性が向上します。