液状農薬の種類の一つにフロアブル剤と呼ばれる剤型があります。これは、微粒子化した原体を水中分散させた農薬です。
散布する際には原体が微分散していなければなりませんが、原体単独では水中に常時分散させることは困難です。そのため、増粘剤を用いて原体の分散状態を保持するなどの工夫がなされています。
弊社製品のクニピアやスメクトンは無機の増粘剤であり、フロアブル剤向けの沈降防止目的として多くの農薬製剤で使用されています。
ベントナイトの主成分であるモンモリロナイトは厚み1nm、広がり方向数100nmの平板状の結晶構造となっています。粉末状態ではこれらが積層かつ凝集した状態で存在していますが、水中ではこれらの積層に水分子が入り込み、やがて結晶単位にまで層剥離します。
また、モンモリロナイトの結晶は、面方向は負(マイナス)電荷、幅方向は正(プラス)電荷を持っているため、水中で結晶単位に微分散したモンモリロナイトはそれぞれの結晶が電気的に吸引したり反発したりすることでカードハウス構造を形成します。
この結果、せん断力に対する抵抗が発現し、粘度が上がる(増粘する)ことになります。農薬原体は単体では分散状態を保持することができませんが、高純度モンモリロナイトであるクニピアのような増粘剤を使用することで分散状態を保つことが可能です。
モンモリロナイトの膨潤イメージ
天然無機物質であるベントナイトから主成分であるモンモリロナイトを精製したクニピアであれば、少量添加で高い増粘効果を発現するとともに、その効果は長期に亘って安定します。
有機系増粘剤は、高い増粘効果が期待できますが、経時変化により粘度が低下したり、凝集して含有成分が偏析したりする可能性が懸念されます。完全無機増粘剤であるクニピアは上述の懸念はなく、また、高温(低温)環境の繰り返しに対しても品質劣化することはありません。
下図はクニピアと他社の精製ベントナイトの各種濃度の水分散液について、60℃加温×8時間~凍結×16時間を1サイクルとする過酷なhot-cold check testを14サイクル繰り返し、その粘度変化を調べた結果です。
この結果からも、クニピアは優れた貯蔵安定性を有していることがわかります。
促進貯蔵による粘土安定性
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製品名 | 形状 | 分類 | 特徴 |
---|---|---|---|
クニピア-F | 粉末 | 精製ベントナイト | 沈降防止、長期安定性 |
クニピア-G | 鱗片状 | 精製ベントナイト | 沈降防止、長期安定性 |
スメクトンSA | 粉末 | 合成サポナイト | チクソトロピー性付与 |
水を撹拌しながら、少量ずつ添加してください。その際、できるだけ攪拌能力が高く、高せん断を与えられる攪拌機の方が効果的です。