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ベントナイトとは?

はじめに:ベントナイトとは?

はじめに:ベントナイトとは?

 ベントナイトとは、粘土鉱物であるモンモリロナイトを主成分とする岩石で、不純物として石英や長石などの鉱物を含んでいます。
 ベントナイトは、今から数百万年から数億年前の火山噴火によって堆積した火山灰などが、温度や圧力、熱水などと反応して、鉱床が生成したと考えられています。
 ベントナイト鉱床は、米国、欧州、中国や日本など世界各地で見ることができます。
 ベントナイトの主成分であるモンモリロナイトは、水を吸収すると元の体積の何倍にも膨らむ特徴的な性質を持っています。これを膨潤性と呼びます。さらに、水に分散させると粘性を示す性質や各種陽イオンをよく吸着する能力など、様々な特性を持っています。このような特性を活かして、ベントナイトは様々な産業分野で利用されています。例を挙げると、鋳物、土木建築、ペット用トイレ砂や化成品など非常に多岐にわたっています。
 さらに、ベントナイトは日本薬局方や食品衛生法などにも記載があり、化粧品や医薬品、食品添加物としても利用されています。そのため、ベントナイトは"1,000の用途を持つ粘土"とも称されています。近年では、放射性廃棄物を地層処分する際のバリア材としての検討も行われ、既存の用途以外での利用も広がりを見せています。

モンモリロナイトとは

 ベントナイトの特性は、主成分であるモンモリロナイトの性質によって決定されます。そのため、ベントナイトを理解するためには、まずモンモリロナイトの結晶構造や物質的性質を理解することが重要になります。

結晶構造

 モンモリロナイトの単位結晶は、厚みが約1nm、幅が100-1,000nmのとても薄い板状(平板状)の結晶をしています。実際は、この薄い板状の単位結晶が数枚積み重なり1つの鉱物粒子をつくっています。

結晶構造

 モンモリロナイトの単位結晶は、Si(ケイ素)とO(酸素)の四面体がシート状に連なった四面体シートと、Al(アルミニウム)とOH(水酸基)の八面体がシート状に連なった八面体シートからなっており、1枚の八面体シートが2枚の四面体シートに挟まれた、サンドウィッチ構造をしています。これをケイ酸塩層(単位層)と呼びます。しかし、実際は八面体シート中の3価の陽イオンであるAlが、部分的に2価の陽イオンであるMg(マグネシウム)に置き換わっています。このことを同形置換と呼びます。その結果、単位層面では電荷が不足し、負(マイナス)電荷を帯びています。そのため、電荷のバランスをとるために、単位層間に正(プラス)電荷を持つイオンが取り込まれています。これを層間陽イオンと呼びます。

層間陽イオン

 天然のモンモリロナイトの層間陽イオンは主にNa、Ca2+、K、Mg2+の4種類からなります。ベントナイトは、モンモリロナイトの層間陽イオンの種類によって分類されるのが一般的で、大別すると、「Na型ベントナイト」と「Ca型ベントナイト」の2種類があります。

Na型ベントナイト

 モンモリロナイトの層間陽イオンにNaイオンを多く含むベントナイトをNa型ベントナイトと言います。Na型ベントナイトは、膨潤性、増粘性や懸濁安定性に優れています。

Ca型ベントナイト

 モンモリロナイトの層間陽イオンにCa2+イオンを多く含むベントナイトをCa型ベントナイトと言います。Ca型ベントナイトは、Na型ベントナイトに比べて膨潤性、増粘性、懸濁安定性の面で劣るものの、吸水性に優れています。また、Ca型ベントナイトに対して数wt%の炭酸ナトリウムを加えて人工的にNa型化させたものを、活性化ベントナイトと言います。活性化ベントナイトは、Na型ベントナイトに近い特性を示します。

ベントナイトの特性

膨潤性

モンモリロナイトの膨潤の模式図

 ベントナイトの大きな特徴である膨潤性は、モンモリロナイトが水と接触すると、層間陽イオンと水分子が水和し、単位層間の距離が増加していくことによって起こります。このメカニズムは、モンモリロナイトの層間陽イオンの種類によって異なっています。層間陽イオンにNaイオンを多く含むモンモリロナイトは、Naイオンによる単位層同士の電気的引力が弱いため、水に分散させると、Naイオンと水分子が水和して、やがて単位層にまで分離します。このとき、単位層間の距離は4nm以上に広がり、浸透性膨潤と呼ばれる状態を示します。
 層間陽イオンにCa2+イオンを多く含むモンモリロナイトは、Ca2+イオンによる単位層同士の電気的引力が強いため、水に分散させると、Ca2+イオンと水分子は水和するものの、単位層まで分離することなく、積層状態が保たれたままになります。このとき、単位層間の距離は4nm未満に限定された結晶性膨潤と呼ばれる状態を示します。

増粘性

 層間陽イオンにNaイオンを多く含むモンモリロナイトを水中に分散させると、Naイオンと水分子が水和して、単位層にまで分離します。単位層まで分離したモンモリロナイトは、単位層の表面に厚い水和層を作り、分散液中の固相率が上昇します。そのため、その分散液の粘度は、分散媒である水に比べ非常に大きくなり、粘性を示すと考えられます。

陽イオン交換性

陽イオン交換性

 モンモリロナイトの層間陽イオンは、他の陽イオンと簡単にイオン交換することが可能であるため、交換性陽イオンとも呼ばれています。活性化ベントナイトの処理方法は、モンモリロナイトの陽イオン交換性を利用した良い例です。また、モンモリロナイトの層間には、無機陽イオンだけでなく、第4級アンモニウムイオンなどの有機陽イオンと交換することが可能で、このようなベントナイトを有機ベントナイトと呼びます。有機ベントナイトは通常のベントナイトと異なり、水に分散しにくい代わりに炭化水素などの有機溶媒と親和性を示す特徴を持っています。

ベントナイト鉱床の成因

 ベントナイト鉱床は、米国、日本、中国、ギリシャ、トルコなど世界各地に存在し、日本国内でも、山形、宮城、新潟、群馬、青森、島根、岡山などで見ることができます。ベントナイト鉱床の成因には、「続成変質作用」と「熱水変質作用」の大きく2つの場合が考えられています。クニミネグループでは、山形県で採掘している鉱山は続成変質作用、宮城県および新潟県で採掘している鉱山は熱水変質作用によって、それぞれ生成したと考えられています。

ベントナイト鉱床の成因を示した模式図
続成変質作用

 火山噴火によって噴出した火山灰などは海底や湖底などの水中に堆積し、地殻変動によって長い時間をかけて地下深くへ埋没して行きます。埋没の進行に伴って温度、圧力の条件や堆積物中の間隙水の化学的性質が変化し、新たに安定的な鉱物を生成します。このような一連の作用を続成変質作用と呼びます。

熱水変質作用

 火山灰などの堆積物あるいは火成岩などが、地下のマグマにより温められた地下水と反応し、岩石の化学組成、構成鉱物、組織などが変化します。このような作用を熱水変質作用と呼びます。

ベントナイトの採掘方法

 ベントナイトは法律上、岩石の扱いであり、採石法という法律によって取り扱われています。ベントナイトを含め、鉱山での採掘方法は、「坑内採掘」と「露天採掘」の大きく2つの方法があります。クニミネグループでは、ベントナイト鉱床の賦存状況によって採掘方法を使い分けており、山形県で採掘している鉱山では坑内採掘を、宮城県および新潟県で採掘している鉱山では露天採掘を行っています。

坑内採掘

 採掘対象とする鉱床が、地中深くに賦存している場合に採用される採掘方法です。自然の景観を損なわず、他の岩石の混入が少ない良質な原鉱を採掘できるなどの長所があります。

坑内採掘

露天採掘

 採掘対象とする鉱床が、地表近くに賦存している場合に採用される採掘方法です。安全性が高く、採掘能率に優れているなどの長所があります。

露天採掘

ベントナイト鉱床中に産する奇石

 ベントナイトの採掘中には、しばしば炭酸塩ノジュールやパイライトなどが見つかることもあります。

ベントナイト鉱床中に産する奇石